労働者のための労働法講座DIY教室

Ⅰ.労働基準法編-6

東京労組顧問・中央大学名誉教授 近藤昭雄

6. 年次有給休暇

年休は、ちゃんと、とれてますか。
労基法における年休制度は、以下のようになっています。(39条①・②項)
継続勤務6ヶ月−−−−10労働日の年休
+1年−−−−+1労働日の年休(3年からは、+2日)
ただし、前年の出勤率が8割以上であることが要件 (最高20日)
◆これをまとめて、表で表すと、
入社から継続勤務出勤率年休日数
0~0.5年0年8割0日
0.5~1.5年0.5年8割10日
1.5~2.5年1.5年8割11日
2.5~3.5年2.5年8割12日
3.5~4.5年3.5年8割14日
4.5~5.5年4.5年8割16日
5.5~6.5年5.5年8割18日
6.5~7.5年6.5年8割20日
7.5~8.5年7.5年5割※20日
8.5~9.5年8.5年8割0日※
9.5~10.5年9.5年8割20日

※ 前年の出勤率が5割以下の場合には、翌年の年休は「0日」となります。

パートタイマーにも年休があります。(39条③項)
1.週所定労働日数5日以上
週所定労働時間30h以上のパート ………… 一般(正社員)と同じ
2.週所定労働日数4日以下
年間所定労働日数216日以下のパート …… 比例付与
(労基則24条の3①・④・⑤項)
●比例付与の基準
週所定労働日数
39条①,②項の「年休日数×(週所定労働日数÷5.2)」の計算式を基準に、労基則24条の3②・③項で定められた水準
③「計画年休制度」といって、5日を超える年休日数につき前もって労使協定で 定められたやりかたで、年休を取らせる制度が、認められています。(39条⑥項)
計画年休の一般的な制度
  • ・個別付与方式
  • ・グループ別付与方式………労使協定による実施
  • ・一斉付与方式
  • ・計画年休制度が採用されると、それに沿って年休を取ることが強制されます。したがって、これは、年休の取得率が低いので、できるだけ年休を取らせるようにしようという趣旨で導入されたものですが、個人で自由に取れる年休日数が減って、組合活動への利用の妨げとなったりしますので、制度導入には、慎重な態度で臨んで下さい。
④出勤率の計算−−出勤率が5割を切ると、翌年の年休はゼロになってしまうわけ ですから、出勤率の計算には、慎重を要します。出勤率の計算と、その計算に当たっての、法律上、休業することが保障される休業日の取扱いは、以下のようになります。
出勤率計算
出勤率計算
年休は、原則、労働者が請求した日を、そのまま認めるものでなければ なりません(39条⑤項)。
というのも、前記39条①・②項の要件(継続勤務年数と出勤率)を満たした場合、労働者に、法所定の日数の「年休権」が発生のであって、それを、いつ、どのように行使するかは、労働者の自由であるとされるからです。(白石営林署・国鉄郡山工場事件最高裁判決(最2小判昭48・2) そして、使用者は、年休取得を理由に不利益扱いをしてはいけないものとされています(136条)。
⑥ただ、労働者が請求した時季にそのまま年休をあたえると、「事業の正常な運営」を 妨げる場合には、使用者は、別の時季への変更を求めることができると、されています(使用者のこの権利を「時季変更権」といいます)。
しかし、「今、忙しいから」というだけでは、時季変更権を行使することはできず、使用者は、労働者が指定した時季に年休を取得することができるよう、最大限の配慮をなすべきで、この配慮を尽くさずになした時季変更権の行使は、違法であるとされています。(弘前電報電話局事件(最2小判昭62・7・10))したがって、年末の繁忙期のど真ん中で請求するとか、いっぺんに大勢で請求するとかいったような特殊な場合を別として、通常の業務の中で年休を請求した場合においては、ほとんど、時季変更権の成立はないと、考えて差し支えありません。
どのような目的のために年休を取るか(年休の利用目的)は、まったく、労働者の 自由です。
したがって、使用者が、利用目的の如何を理由に、年休を認めるとか、認めないとかするのは、絶対的に許されません。ただ、年休を、直接、争議目的に利用する(いわゆる「休暇闘争」)のは、許されないものとされています。しかし、組合活動のためや、争議応援目的のための利用は、当然認められます。
⑧労基法上の権利は、すべて、「2年」で時効消滅します。
したがって、年休の「繰り越し」は1年が限度で、2年の間に行使しないと、その年休権は消滅してしまいます。ですから、最大限、年休は年度内に取るように、努めるべきです。
⑨年休の「買い取り」は、原則、違法なものとされます。
職場の情況から、どうせ 取れないのだから、そういう状態を作っている使用者に責任をとらせるために、買い取りさせる、という気持ちも分かりますが、「買い取り」を認めると、ますます、年休の取得が悪くなっていく、ということになるわけですから、やはり、年休は、最大限年度内に取るようにし、もし、とりにくい状況にあるのだったら、使用者への責任追及は、別途、なされるべきです。

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